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執筆者の写真Hearts

訪問美容・掲示板②

更新日:2023年3月18日

こんにちわ、美容師の廣田純也です。

今回のブログでは、初めて訪問美容として行かせていただいた施設であり、担当させていただいたシニアの方とのやりとりのあの日について書かせていただきます…


今から9年前のあの日です。

初めての高齢者施設。

どんな方がいらっしゃるのか、どこに何があるのか、正直右も左も分からずにただただ緊張で足を入れさせていただいた事を今もはっきり覚えています。


歩行車をお使いでしたが、ピンとした背筋と凛とした表情に鋭い眼差しで僕をみて立って おられるシニアの女性。

僕自身が試されている。と、この時感じると共に自分がやるべき事は全身全霊をかけて

美容をすること。

それ以外にないと思いました。


細かいところまでこだわりがあり、しっかりとお応えしよう。と精一杯やらせていただきました。

やり終え、最後に鏡をお見せすると「襟足はもっと短くして」と言葉を言われ、その場でもう一度切り直すことになりました…

改めて鏡をみていただき「はい素敵ね。次からはこれでお願いね。」と言っていただき

ました。この時、僕は正直怖かったです。美容師としてやってきたのに何も通用しないのか!?

何がよくなかったのかがわからない…?

が、正直な気持ちでした。

家に帰り冷静になって今日のことを何度も考えてみた時、僕はもしかしたら、サロンの延長で美容を行っていたのでは?と思いました。

それが、あのシニアの方にはお見通しだったのではと思いました。

高齢者の方の方が美容の知識や、今まで美容をやってこられた歴史が長いということ。

この1番大事なことを僕は考えてやったのだろうか?髪を切ることだけをしたのでは

ないか?と思いました。高齢者の方々の美容への考えを、どこか甘くみていた自分を

とっても恥ずかしくなりました。

それなのに、あの方は「次もお願いね」と次も切らせていただける。という事に驚きと

感謝で一杯になり、胸が熱くなったことを今でも忘れません。


「次こそはその方に満足してもらえるようにやらせてもらおう!」と気持ちが改まった事を今でもはっきりと覚えています。

そして、これがもしかして高齢者の皆さんへの美容、『訪問美容』なのではないか!

と思った瞬間でもありました!


高齢者の方は、髪の質も地肌の質も全く違う。そのことを考えて、それぞれの方の気持ちになって髪型を作らないといけない!技術でなくて僕の心配りがとても大切である!

と教えていただきました。


その後、会う毎に厳しく指導して下さるそのシニアの方とのやりとりが、僕の心に訪問美容の大切さを刻んでくれています。回を重ねた頃、「あなた成長したわね」と言っていただき、僕は胸が熱くなり何か大人の方に褒めていただいけたような気持ちで一杯になったこともはっきりと覚えています。生涯忘れることのない宝ものとなっています。

これが僕の「訪問美容の原点です」

僕は今もこのことを心にいれて訪問美容を毎日続けております。


僕は祖父母がいなくなってしまい、髪の毛を切ってあげた事がない事を悔やんでいます。

それもあり、少しでも高齢者の方々のお役に立てるのなら、それは自分の祖父母にできなかったことですが、自分の祖父母が喜んでくれていることではないのかな…とふと思います。


コロナ渦になり…ここ何年か施設の方でも感染対策が厳しく、先程お話しした、僕の原点の方の施設では玄関でカットをしていますので、住居のほうに入ることができなくお逢いできていないのです。お元気でいらっしゃることは施設のスタッフの方から聞いておりますが、時に自分に迷った時など、あの時の僕に大切なことを教えてくださったあの方に今の自分を見ていただきたい。と思う自分がいます。お会いできる日まで、どうぞお元気でいてください。そして、今の僕はどのように写っているか教えていただきたいです。


訪問美容師というものは、もしかすると、技術をさせていただくことでなく、それ以上に人を成長させてくれる、美容師の我々が学べる場なのではと思っております。


これからも、このブログ・掲示板にたくさんのことを訪問美容を通して書いていこうと思っております。


〜美容を届ける側、受ける側、同じ一輪の愛の華〜


株式会社Hearts

廣田純也





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